2008年11月09日
ラビン首相暗殺13周年 ~テルアビブ~
2008年11月8日(土)22時のニュース
エフード・バラク国防相は、テルアビブのラビン広場で開かれたラビン首相追悼記念式典で「今日も暴力は民主主義を蝕んでおり、雑草と呼ばれた者たちは今、悪性の腫瘍となった」と警告した。また、「当時暗殺は壁に書いてあったが、今は壁石が壁に向かって叫んでいる(※注1)」と述べ、「我々の中から悪を取り除く」と約束した。
バラク国防相は「広場に集まるものは、平和と安全への願いを、叶うまで祈り続ける」とした。また、ラビン首相に向け、「あなたは暗殺されたが、あなたが点けた火は、これまで消えることがなく、これからも消えることはない」と語り、「あなたの夢は必ず勝つ」と強調。更に、観客に「あなた方は平和の帆への追い風だ」と感謝し、「共に変化と希望をもたらそう」と付け加えた。
同国防相はイスラエル安全保証への脅威を指摘し、ギルアド・シャリト兵の拉致を言及した。ラビン首相に向け、「イツハク、あなたが似たような状況で、どのように勇気と責任を以って行動したか覚えている」と述べ、「必要であれば我慢し、他の行動が求められれば、決断力や不動の意思を以って行動したリーダーだった」と言明。「我々はあなたがあるいた平和の道以外に道がないことを理解している」とした。
ツィーピー・リブニー外相は「ラビン元首相に投票することはなかったが、彼は私の首相だった」と述べた。同外相は分裂を牽制し、団結し、誇りと希望を胸に抱かせ、政治的相違点が暗殺で終わることのなかった昔のイスラエルに戻るよう呼び掛けた。また、「平和と安全はどちらかを選択するものではなく、全ての政府は両方への責任がある」と強調した。
同外相は「大いなる目的は、全土でなくとも、エレツ・イスラエル(※注2)おける民主的なユダヤの国だ」と述べた。また、「その国では、誰もが軍役や代行義務の形で国に貢献し、国民が兵士に敬意を払い、彼らに向けて暴力を振るう事がない」と発言。更に、「イスラエルは憲法(※注3)を持ち、最高裁判所と政府はお互いに敬意を払う」と指摘。「イスラエルは自らの道徳を守り、誰にもイスラエル国という素晴らしい創作に危害を加えさせない」と付け加えた。
ラビン元首相の息子ユバル氏は「父は暴力と戦い、それを批判し、民主主義とイスラエル国を守るよう遺した」と述べた。また、「我々はあなたと同じ道を歩む」と発言。「そうすれば、あなたはやっと安らかに眠れるでしょう」と語った。
ダリヤ・ラビン氏(※注4)は広場に集まった数万人の中に見た狂気の社会の正気、愛国心、博愛に感謝の言葉を捧げた。また、「2008年11月4日、平等のために戦った大統領が凶弾に倒れてから140年後、米国は一つの歴史に終止符を打ち、アフリカ系米国人を大統領に選出した」と指摘。「我々は140年待つことはできない」とした。
ダリヤ氏は、貧しいものがさらに貧しくなり、富のあるものは富を拡大し社会から疎外し、責任逃れが多くの人間の夢となり、暴力の恐怖に怯え、イスラエル兵士が無力感を感じるイスラエル社会を非難した。同氏は「悪を根こそぎにし、平和と繁栄を望む声なき大衆の意思をすくう、勇気のある本当のリーダーを選ぶ時が来た」と強調した。
【解説】
(※注1) 「壁に書いてある」 = 誰もが感じられ程、悪い雰囲気が充満していること
(※注2) 「エレツ・イスラエル」 = イスラエル・西岸・ガザを含む、日本語でいう「パレスチナ」全土
(※注3) 「憲法」 = イスラエルには憲法が無いので、この発言が何を意味するか分からぬが、恐らく「イスラエルは司法国家」という考えの強調と思われる。
(※注4) 「ダリヤ・ラビン」 = ラビン元首相の長女
ラビン首相暗殺から13年が経った。暗殺から10年以上経っても、未だに数万人が集まるのは、イスラエルの、特に左派のリーダー不在とそれに伴うリーダーを待ち望む声を表している。毎年、テルアビブとエルサレムで追悼式典が開かれるが、テルアビブの式典は政治的で、エルサレムの式典は公式。テルアビブの式典は中道・左派の集会でもあり、リブニー外相がこの式典に参加することは、リクードを離れ左に寄ったという、政治的な意味を持っている。衰退していく労働党の位置にリブニー外相のカディーマが立とうとする試みが見える。
バラク国防相がいう「悪性の腫瘍」とは、イスラエル治安当局に対し暴力を振るうユダヤ人入植地の若者らのこと。対内諜報機関(シャバック)が警告するように、次なる政治的暗殺の可能性はまだ消えず、暗殺によって和平プロセスを打ちとめようとする勢力への懸念。
■ 人気ブログランキングに参加しています。
クリックで応援お願いします。
投稿者 moshe : 2008年11月09日 07:53