« 学期キャンセル判決のXデー、裁判所命令は無し | メイン | ガザ地区で約20人死亡。スデロットにカッサム攻撃相次ぐ »

2008年01月15日

「和平プロセスの停滞はイスラエルの利益にならない」リブニー外相

2008年1月14日(月)24時のニュース

大学長連盟は「労働裁判所が決定した再審理の日には待たない」と強調し、「授業を再開するには、2、3日の間に教授連盟と財務省の交渉を終えなくてはならない」と述べた。大学長らは今日、財務省代表、教授連盟代表、ユリ・タミール教育相と3時間にわたり会談。交渉を明日続行することで合意した。

2008年1月14日(月)18時のニュース

ツィーピー・リブニー外相は「パレスチナとは全ての主要問題について交渉しており、国境問題について重要な妥協をする用意がある」と述べた。同外相は「如何なる合意においても、条件はパレスチナがロードマップに基づく全ての義務を果たすことだ」と強調。「交渉の実現は妥協ではなく、我々は敗北主義や弱さが故に行動しているわけではない」と言明し、「和平プロセスの最後に、テロと戦う、信頼できる、パレスチナ指導部が出来なければ、イスラエルは如何なる土地の支配権も譲らない」と付け加えた。

同外相は「和平プロセスの停滞はイスラエルの利益にならない」と指摘し、「パレスチナとの交渉を続けなければ、テロがなくなることは無い」とした。また、「紛争を終わらせる合意は、西岸地区、ガザ地区、また(各地の)難民キャンプに住む全てのパレスチナ人の民族的解決となる」と強調。リブニー外相はこれらの発言を国会で、3つの内閣不信任案に対し述べた。

---

オルメルト首相は「パレスチナとの合意に至り、執行できるかは定かではないが、合意に向け行動しなければ、首相という職務を汚すことになる」と述べ、「現在、イスラエル内閣は、責任感のある、唯一の外交選択肢を提示している」とした。

ガザ地区の状況については「現在、ガザ地区では戦争が進行しており、イスラエルは懸命な行動を取っている」と言明。また、「現状に合わない軍事行動を行い、不必要な犠牲を出すべきではない」と強調。「行うべきだと感じたときには、そのような措置も取るが、自ら緊張を悪化させる必要は無い」と付け加えた。

第2次レバノン戦争については、「戦争が無ければ、北部国境の現状は、今よりも悪かっただろう」との推測を示した。同首相は「戦争があったため、ヒズボラにはミサイルを撃つモチベーションが無い」と指摘。「南部でも北部のような状況があればよかったと思う」とした。

---

リクードのビンヤミン・ネタニヤフ党首は、イスラエル・ベイテイヌとシャス党に、内閣から即時脱退するよう呼びかけた。同党首は「内閣は、一時的な妥協から、イスラエルの安全保障、存在や未来に関わる、戦略的な妥協に移った」と非難。また、「オルメルト内閣は、テロや扇動の中止の条件を、交渉開始前に捨ててしまった」と述べ、「最終的にはエルサレムを分割し、67年の国境まで撤退してしまうだろう」批判した。

---

エフード・バラク国防相は「内閣脱退に関する決定は、ヴィノグラード調査委員会の最終報告書を読んだ後に、イスラエルの利益を考え下す」と述べた。同国防相は大学教授のストにも触れ「大学はイスラエルの安全保障の一部だ」と強調。オルメルト首相、バロン財務相とタミール教育相と大学教授らに、エイニー労働組合長の略図に基づき、即時ストを終結するよう呼びかけた。



【解説】

大学のストは、学期をキャンセルしないまま、財務省、教授連盟と大学長連盟の交渉が続いている。大学長連盟は、今度は「木曜日までにストが終わらなければ今学年をキャンセル」と新しい「最終期限」を設けたそうな。とりあえず、今週中には学期のキャンセルは無い雰囲気。ここまで来たら、もう首相レベルで解決して欲しいものだが、オルメルトはストに関与しない姿勢を続けている。財務省も本当にやる気があるの理解しがたいところがあり、怒った大学教授連盟のハコヘン議長も「交渉に来る財務省代表は、嘘つきや詐欺師だ!」といった発言をしている。

---

「パレスチナとの合意に至り、執行できるかは定かではないが、合意に向け行動しなければ、首相という職務を汚すことになる」といった発言は時が違えばかっこよく聞こえたのだろうが、オルメルトが言っていることと、今言っていることで、どうも信憑性が無い。続きの「戦争が無ければ、北部国境の現状は、今よりも悪かっただろう。戦争があったため、ヒズボラにはミサイルを撃つモチベーションが無い」に至っては、オルメルトは本当にイスラエルの首相かどうか怪しくなってくる。大学の問題も含め、なんだか現実が見えていないような気もする。

---

パレスチナとの交渉の際に、主要問題に触れていることで、オルメルト内閣はある種のリスクを背負っている。それは、リーベルマンのイスラエル・ベイテイヌ(ロシア系移民の支持を基盤とした極右政党)とシャス(中東出身者を基盤とした正統派の政党)が内閣から脱退する可能性が少なくないから。どちらの党も、主要問題が交渉の議題となった場合、内閣から脱退するとこれまで述べてきた訳で、現在右派政治家などからの批判も多くなり、内閣に留まっている今、世論調査での支持率も低くなっている。リーベルマンは水曜日に脱退の有無について決定する見通し。

現在、与党は、カディーマ、労働党、シャス、年金党とイスラエル・ベイテイヌで78議席。イスラエル・ベイテイヌとシャスが内閣から脱退すると与党は、55議席で成立しない(その場合。超正統派のトーラーユダヤ教連合を入れて、61議席にする方法もある)。仮にベイテイヌだけ脱退したとしても67議席で、労働党内の反オルメルト勢力を考慮すると、内閣にとって厳しくなる。

また、今月末にはヴィノグラード調査委員会の最終報告書が提出され、労働党のバラク党首が公約どおり内閣からだったするかが注目される。労働党が内閣から脱退した場合、それこそ与党は成立しなくなる。内閣に留まった場合、バラクはかなりの批判を受けると予想されるが、脱退しても野党党首にはなれない(議員でないため)。どうなるか現時点では分からない。

ちなみに、シヌイ党(世俗派・反正統派の党)が第3政党だった頃に無くなった宗教省の復活が、今日国会で決まっている。正統派のシャスを内閣に留めるためのオルメルトの計らいと見られている。



最近の世論調査は下記の通り



今選挙が行われたら?(カッコ内は現在の議席数)

リクード 28議席(12) → 大幅に支持を増やす
労働党 21議席(19) → バラク効果。2006年選挙のときは、ペレツが党首
シャス 11議席(12) → 10以上の議席数をキープ
カディーマ 10議席(29) → 約3分の1まで減少。第4政党に転落。
アラブ系政党 10議席(8) → 3政党を合わせた議席数。近年の傾向のまま、若干増える。
イスラエル・ベイテイヌ 8議席(11) → 内閣に留まっているせいか、議席数を減らす。リクードに取られた票もあると考えられる。
国家統一党・国家宗教党 8議席(9) → ほぼ同じ議席数をキープ
社会正義党 7議席(新党) → 昨年出来た富豪ガイダマックの政党
トーラー・ユダヤ教連合 6議席(6) → そのまま
メレツ 5議席(5) → 変化なし
緑の党 4議席(新党) → 環境問題の解決を掲げた政党
年金党 2議席(7) → ほぼ消滅状態。ホロコースト生存者への手当て問題が原因かもしれない。



ヴィノグラード調査委員会が、政治指導部に欠陥があったと判断した場合…

オルメルトは辞任し、90日以内に選挙を実施すべき 52%
オルメルトは辞任し、党内の政治家に首相の座を譲るべき 21%
オルメルトは現時点では辞任せず、1年後に選挙を実施すべき 14%
オルメルトは辞任せず、予定通り2010年に選挙を行うべき 8%

オルメルト首相が辞任した場合、誰がカディーマ党首になるべきか?

ツィーピー・リブニー外相 50%
エフード・オルメルト首相 17% (首相は辞任するが、党首として残る)
シャウル・モファズ交通相 15%
メイール・シトリット内相 4%

誰が首相に相応しいか?

ビンヤミン・ネタニヤフ(リクード) 33%
エフード・バラク(労働党) 17%
エフード・オルメルト(カディーマ) 8%
誰も相応しくない 37%









■ 人気ブログランキングに参加しています。
クリックで応援お願いします。

現在中東情報のランキングで9位

にほんブログ村 海外生活ブログ 中東情報へ

投稿者 moshe : 2008年01月15日 08:42

コメント

コメントしてください




保存しますか?