2007年11月28日
アナポリス会議開催。「2008年末までに最終合意」
2007年11月27日(火)20時のニュース
ブッシュ大統領は、イスラエルとパレスチナが、パレスチナ独立国家の樹立に向け、2008年末までの最終合意を目指し、交渉を開始することを発表した。オルメルト大統領とアブー・マゼン議長が同意し、共同声明に調印したもの。交渉は2週間後に開始し、両国は全ての重要問題について協議する。交渉はロードマップに基づき、両国の代表が進展を監視する。
オルメルト首相とアブー・マゼン議長は、2週間ごとに、交渉の進展について会談する予定。米国は、合意の実現について監視する。
アナポリス会議の演説で、ジョージ・ブッシュ大統領は「パレスチナはテロと戦い、イスラエルは入植地や不法占領地を撤去すべきだ」と述べた。同大統領は「今日、平和への困難な道のりが始まった」と強調。「中東の未来をかけた戦いで、過激派に勝利を与えてはいけない」と付け加えた。
エフード・オルメルト首相は、アナポリスの演説で「六日戦争後に出来た現実は、明らかに大きな変化を遂げる」と述べた。同首相は「その変化は、多くの者にとって困難だろうが、やむを得ない」と言明。「今後行われるパレスチナとの協議は公的なもので、全ての重要問題を取り上げる」と指摘し、「我々はどのような問題からも逃げはしない」と強調。また、パレスチナやアラブ諸国に向け「平和の時が来た。我々には既に、異なる夢を見ている時間は無い」と語り「テロや扇動、憎しみを止めるよう求める」とした。
オルメルト首相は「交渉終了後には、ブッシュ大統領の構想する、2民族2国家制は実現するだろう」と希望を示した。「(実現すれば)平和を望む、テロの無い、強く、民主的なパレスチナ国家と、民主的でユダヤ的なイスラエル国家が、テロの恐怖なしに、安全に存在することになる」と指摘。また「我々が、国交を成立させたくないイスラム国家は無い」と強調。「我々との平和を望むものには、心からアハラン・ワサハラン(ようこそ)と呼びかける」とした。
同首相は演説の終わりに、アブー・マゼン議長に向かい、「困難で厳しく長い道を共に歩き、共にゴールに着きましょう」と呼びかけた。
パレスチナ自治政府のアブー・マゼン議長は「アナポリス会議は、2国家の問題を解決し、占領を終え、全てのイスラエル・アラブ問題を解消する、交渉プロセスの道を開く」と述べた。同議長は、入植地問題について、自然拡大の阻止、不法占領地や検問の撤去、東エルサレムにおける自治政府の行政施設建設などにより、交渉を支えるよう呼びかけた。また、「紛争の解決には、東エルサレムやゴラン高原を含む、67年以降の全占領地の返還が不可欠だ」と強調。「東エルサレムは、我々の首都となる」と言明し、「東エルサレムの門は西側に開かれ、(イスラエル側からも)全ての聖地へは自由にいけるようになる」と付け加えた。
同議長は「ロードマップに基づき、2民族の安全を保障するため、テロや無秩序を対処する」と公約。また「テロは我々にとって、過去の遺産だ」と指摘。さらにイスラエル国民に向け「平和は両民族の利益だ」と述べ「平和は可能であり、二つの民族の子供達のために、千載一隅のチャンスを逃してはいけない」と呼びかけた。自国民には「ナクバが終わり、歴史的な搾取が終息する希望がある」とし「個人的な悲劇を乗り越え無くてはならない」と語った。「我々には、占領、検問所、囚人、行動の規制や暗殺の無い、新しい夜明けに向け行動する権利がある」とした。
ガザ地区におけるハマス政府については「近く闇の力が衰え、パレスチナ国民を自立した国家への道に向け立たせることが出来ると願う」とした。
ハマスはアブー・マゼン議長の演説を批判し「議長は彼自身を代表するにすぎない」と決め付けた。同組織のファウズィ・バルフーム報道官は「もはやアブー・マゼンはパレスチナ人民の支持を失い、人民の権利について語ったり、譲歩したりする資格は無い」と述べた。
リクードのレウベン・リブリン議員は「オルメルト政府は、パレスチナとのまやかしの平和に導こうとしている」と非難した。同議員は「言葉でカッサム・ロケット弾を止めることは出来ない」と述べ「今日現在、誰かがアブー・マゼンがテロと戦うのを阻止しているのだろうか」と疑念を露にした。
一方、メレツ党のラン・コヘン議員は「パレスチナ国家を成就しなければ、我々にも彼らにも悲劇が起こる」と警告した。同議員は「メナヘム・ベギンがキャンプ・デービッドから帰ってきたときにそうだったように、オルメルトが合意を携えて帰国すれば、我が党は彼を支持する」と付け加えた。
アハメド・ティービー議員は「アナポリス会議での演説には、何も親身は無い」と述べた。同議員は「ゴールの日程だけで、各段階の日程は得られなかったが、パレスチナは、ブッシュ大統領の強い演説に満足すべきだ」と発言。また「オルメルト政府は当面存続するだろうが、交渉が進めば、イスラエル・ベイテイヌが内閣を離脱するだろう」との見方を示した。
【解説】
アナポリス会議で、米国、イスラエル、パレスチナの首脳が、とても前向きな演説をした。しかし、国内では反対も多く、前途は多難。まあ、どちらにしろはじめから期待は薄いので、交渉できる環境だけでも作れればいいのだろう。
今回の会議で一番得をしたのはサウジ。一番損をしたのはシリアといわれている。サウジは今回の会議の中心としてがんばったことで、穏健アラブ諸国のリーダーへの道を進んでいるという。逆に、ゴラン高原が議題になると期待してきたシリアは、結局何も得ることが出来ず、「来るだけ損した」と怒っているとの事。
今回の会議で、世界、特にアラブ世界でのパレスチナの地位は、また少し良くなった。しかし、パレスチナ内部でもアナポリス会議は冷めた目で見られているらしく、「どうせパレスチナ国家が出来るわけではない」という意味を含めて、一部では「ノー・ポリス会議」(都市国家ポリスとかけて)と呼ばれているのだとか…。
イスラエルは、自国の主張をハッキリ伝えなかった事で、弱腰に写ったのではないかと懸念する声もある。イスラエル・ベイテイヌがオルメルト政府の首をつないでいるのが現実。和平交渉が進み、イスラエルが譲歩することになれば、リーベルマンが内閣に残留する可能性は低く、仮に残ったとしても色々と条件をつけてくることになる。リーベルマンがいなくなれば、労働党にも内閣に残留する理由も無くなり、与党は過半数を確保できなくなってしまう。そうすれば、和平プロセスもストップ。
また新聞には「イスラエルが和平を結べるのは、一国とのみ交渉を行ったときのみ。複数のアラブ諸国とのサミットは必ず失敗する」との社説。それによると、現状からして、イスラエルが相手の国に交渉を頼まなくてはいけないことになる。イスラエルを批判する声が多い中で交渉を行えば、逆にイスラエルは交渉を諦め、よりかたくなな政策をとることになってしまうとの事。
とりあえず、会議は終わったばかり。しばらく様子を見てみましょう。
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投稿者 moshe : 2007年11月28日 04:22