« リーベルマン大臣、内閣残留への条件を提示 | メイン | エフード・オルメルト首相は前立腺癌を告白 »

2007年10月29日

『迷子の警察音楽隊』東京国際映画祭最高賞を受賞

2007年10月28日(日)15時のニュース

イスラエル映画の『The band’s Visit』(邦題『迷子の警察音楽隊』)は快進撃を続け、日本の東京で開かれた国際映画祭で、最優秀作品賞に選ばれた。エラン・コリリン監督と俳優サソン・ガバイ氏は賞金5万ドルを獲得。近く日本でも公開される予定。映画は既にイスラエル・アカデミー賞(オフィール賞)を獲得している。


【解説】

イスラエルに帰ってすぐ映画「The Band's Visit」(邦題『迷子の警察音楽隊』)を見に行ってきました。ここ数年でものすごく成長しているイスラエル映画の中でも、ずば抜けてよかったと思います。イスラエルで迷子になったエジプト人とイスラエル人の交流を描いているわけですが、従来の「イスラエル人とアラブ人がわだかまりを経て交流する」というものでもなく、「イスラエル人と外国人」、あるいは人間同士の交流として描かれていて、とても明るく温かい映画でした(特にローラースケート・クラブでのシーンは傑作です)。

日本でも12月頃から公開されるようなので、是非是非見に行ってみてくださいな(東京国際映画祭でも最優秀賞を受賞しています)。イスラエルでも英語の字幕で公開されているので、ご興味がある方はどうぞ(ただし、映画館によっては英語の字幕が無いところもたまにありますので、事前に確認してください)。


【迷子の警察音楽隊】

若手のエラン・コリリン監督による作品(2007年公開)。当初は資金がなかなか集まらず、先輩監督らからも脚本を変える様に強く勧められた。というのは、当時イスラエルではとにかくあらゆる問題を一つの映画に入れるのが流行っており(イスラエル人男性とパレスチナ人男性の同性愛を描いた映画『The Bubble』などがいい例)、先輩の監督らも映画に紛争やイスラエル人とアラブ人の確執などの要素を入れるよう強く勧め、コリリン監督も脚本を変えた。しかし、自分の思い描いた映画とかけ離れていったため、はじめ作った脚本に戻し映画を作ったところ、大反響を呼び、カンヌ祭でも注目され、イスラエル・アカデミー賞の主要部門を獲得している。

ちなみに、イスラエル・アカデミー賞を獲得すると自動的に米アカデミー賞外国映画部門ノミネートへの資格を得ることが出来るのだが、外国映画部門であるため、映画の半分以上が英語以外の言葉でなくてはならない。しかし、この映画はイスラエル人とエジプト人の会話がメインであるため、英語が多用されている。そのため、ノミネートの資格を失い、資格はレバノンからの撤退を描いた映画『Bufour』に渡った。

コリリン監督はこの映画を作ったことについて「イスラエル社会から中東文化が消えていってしまっている」と述べ、次のように語っている。80年代まではイスラエルにはテレビチャンネルが一つしか存在せず、金曜の夜にはエジプトの映画が報道され、エジプトやイラク出身者のイスラエル放送音楽隊によるアラブ伝統音楽が流れていた。我々は皆、それらに釘付けになっていた。しかし、90年代にチャンネルが異様に増えたことで、これらの文化はイスラエルのテレビから消滅(若い世代はアメリカ映画のほうが好み)。イスラエル放送音楽隊は解散した。新しく出来た空港の標識の多くにも、イスラエル人口過半数の母語であるアラビア語が表記されていない。グローバリゼーションの中、イスラエルは新しいものをたくさん受け入れていれたが、その中で忘れられていった文化がある。これらを忘れることは自分自身を忘れることになる…


(ストーリー)
イスラエルで新しく出来たアラブ文化センターの開幕式で演奏するためイスラエルにやってきたエジプトのアレキサンドリア警察音楽隊。手違いから空港への出迎えは無い。堅物の隊長タウフィークは「絶対に人の手は借りない」と自分達で目的地に行こうとする。一向はペタハ・ティクバに行くつもりが、砂漠の小さな町ベイト・ハティクバにたどり着く(架空の町。アラビア語にPが無いために間違えたと思われる)。帰りのバスは既に無く、一向は町で一夜を過ごすことになる。タウフィークをはじめ、女好きのハレド、物静かなスィモンなど、音楽隊メンバーはそれぞれ、町の住人との暖かい交流を深めていく…

〈キャスト〉
タウフィーク サソン・ガバイ(Aviva My Love) → イラク出身のベテラン俳優「この映画に役者人生の全てをかけた」と語っている。
ディナ ロニット・エルカベッツ(Late Marriage; Mon trésor)
ハレド サラハ・バクリ(Jenin, Jeninの監督の息子)
スィモン ハリファ・ナトゥール
イツィック ルビー・モスコビッチ


投稿者 moshe : 2007年10月29日 00:09

コメント

面白そうですね、是非見に行きたいと思います!

投稿者 徹 : 2007年10月29日 17:58

コメント、およびご指摘ありがとうございました。
確かに名前からして、アラブ人の名前ではないな、と思ってはいたのですが、アラビア語によどみもなく、勘違いしておりました。イラク出身なら納得です。早速訂正したいと思います。
重ね重ね、ご丁寧にありがとうございました。

投稿者 mest : 2008年02月02日 22:30

コメントしてください




保存しますか?