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2006年03月06日

〜映画『ミュンヘン』に対するイスラエルの対応〜 第2回

現実とのギャップ
さて、最も大きい批判はモサドなどから来ています。まず、「この映画は現実とあまりにもかけ離れている」というものです。

作中にこんなシーンがあります。ロッド空港に着いたアブネルを、軍服姿に軍用ジープの2人の対内情報機関(シャバックまたはシンベット)メンバーが迎えます。イスラエルに住んでいる人なら対内情報機関のメンバーが軍服を着ているのはありえないことを知っていると思います。しかし、これは日本人が「ラストサムライ」や「パールハーバー」を観て感じる違和感と一緒で、こういう場面にあまり批判は見られません。

批判が多かったのは「暗殺シーンなどが現実とかなり違う」というものです。これは現実に暗殺に関わったモサドの諜報部員たちの批判です。例えば、「ベッドに爆弾を仕掛けられて死んだはずの幹部が、電話につけられた爆弾で死んだ」とか「ベイルートでの攻撃で部隊はほとんど海岸を離れなかった」といったものです。

また、作品に大きく関わっている事も、現実とは違うという批判がありました。例えば「暗殺メンバーは別々に住んでいた」、「ターゲットの情報は、ヨーロッパからではなく、パレスチナ人協力者などから得た」、「暗殺メンバーは1人も死ななかった」、「暗殺メンバーは上からの命令に従った。勝手に暗殺する事は無かった」といったものです。

しかし、これはあまり大きな問題ではないといえます。なぜなら、この映画は元々、歴史映画として作られていないからです。映画の冒頭に“inspired by real events”(事実の印象を基に作られた)と出てきます。“based on a real story”(事実に基づいて作られた)ではありません。つまり、この映画は元々事実を伝える為に作られた映画ではないのです(そのため「歴史映画」としての評価は高くありません)。


素人集団として描かれたモサドの諜報部員
一番モサドを怒らせたのはこれでしょう。『ミュンヘン』の暗殺メンバーは、暗殺に関しては全くの素人として描かれています。リーダーのアブネルも「何であんたがリーダーなんだ?」と訊かれ、他のメンバーが「料理が一番上手いからだよ」と答えている場面があります。

一般人でも、モサドにあんな素人が入れるのか?という疑問が出てきます。入れたとしても、あんな大規模な作戦に送られる事は無いでしょう。元諜報部員によると、爆弾は何度も練習を重ねた上で使用され、一発勝負などは無かったそうです。

まあ現実でも、ミュンヘンのテロのリーダー・サラーマを殺すはずが、顔が似ているという理由から、間違って一般人が殺されたという「リールハイマー事件」を起こっています(これは映画には出てきませんでした)。どちらにしろ、モサド以外の人にとっては、あまり大きな問題ではないのではないでしょうか?

ミュンヘン・1>ミュンヘン・2>ミュンヘン・3

投稿者 moshe : 2006年03月06日 19:05

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