2006年03月05日
〜映画『ミュンヘン』に対するイスラエルの対応〜 第1回
遅まきながら『ミュンヘン』を観に行ってきました。イスラエルでは日本より1週間ほど早く、1月末に放映が始まっていたのですが、テスト期間がありなかなか時間がありませんでした。テストが終ったので、2学期が始まる前に観ようという事で、3月2日(木)にようやく観に行ってきました。
イスラエルでは放映開始以前から色々と騒がれていました。どういうことが問題とされ、何が評価されたのかということを今回は書いてみたいと思います。ちょっとネタバレも入っているので、ご注意ください。ちょっと長くなってしまったので、3回ぐらいに分けたいと思います。
はじめに
『ミュンヘン』は1972年のミュンヘンオリンピックで起きた、PLOによるイスラエル人スポーツ選手殺害事件と、その後に起きた「神の怒り作戦」を描いています(モサドがヨーロッパを中心に、テロにかかわったPLO幹部に対し報復をした作戦の事です)。
『ミュンヘン』は、放映開始以前から騒がれていました。しかし、新聞や映画のサイトなどを見てみると、映画への評価はどこも大体星4つとなっています。つまり、映画としてはかなり高い評価を受けています。どうしてこうなったかというと、『ミュンヘン』に対する評価は、この映画をどう観るかによって違うからだと思います。
『ミュンヘン』はサスペンス映画、歴史映画あるいは政治映画として観る事が出来ると思います。サスペンス映画としては評価が高かったとですが、歴史映画あるいは政治映画としては、評価はいまいちだったと思います。一番非難が多かったのは、殺されたスポーツ選手の遺族とモサドからでしょう。
イスラエル映画界への敬意
『ミュンヘン』にはイスラエル人の俳優が30人ぐらい出ています。その内2人は大きな役を演じています。主人公アブネルの妻ダフナを演じているアイェレット・ゾラーと母親を演じているギラ・アルマゴールです。出番は少ないですが、話に大きく関わっています。
他にもモシェ・イブギー、オデッド・テオミー、イェフダ・レヴィなどが小さい役で出ています。これは、スピルバーグのイスラエル映画に対する敬意として捉えられています。この行為は高く評価されています(中には「反イスラエル映画に出演するのは売国奴だ」という人もいますが…)。
被害者の弔い
スピルバーグは何故今ミュンヘンオリンピックの映画を製作したのでしょうか?イスラエル紙のインタビューに対しスピルバーグはこう言っています。「私がこの映画を作った最大の理由は、特にIOCが殺されたスポーツ選手の事を忘れているからである」
スピルバーグは『ミュンヘン』をまず「殺されたスポーツ選手の記念作品」だとしています。しかし、映画に対する批判はスポーツ選手の遺族からも出ています。それは第一に、「殺された家族を大衆向けのハリウッド映画で描いて欲しくなかった」というものがあります。
ですが、やはり最も批判が多かったのは2つのシーンだと思います。一つ目は、映画の初め、スポーツ選手が殺された後のシーンです。一人一人、被害者の名前が呼ばれている最中、交互にこれから殺されるPLO幹部の名前が呼ばれています。これは、「テロの被害者と暗殺されたテロリストを同一視している」と捉えられています。
2つ目のシーンは映画の最後の方に出てくる、主人公アブネルが妻ダフナのベッドシーンです。スポーツ選手が殺される様子とベッドシーンが交互に出てきます。あれは、アブネルが悪夢から逃れようとするのを描いているのは分かります。しかし、人によっては「被害者の霊を冒涜している」と捉えられています。
投稿者 moshe : 2006年03月05日 18:10
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